藤原清道プロフィール
20「新 従業員満足度ES2.0」の執筆~日本企業の未来のために使命感を持って取り組む~
稲田行徳氏からのオファーがきっかけだった。
「藤原先生の仕事観、そして藤原先生が提唱する従業員満足度を高める組織づくりに必要な考え方を、もっと多くの方に伝えるべきです。藤原先生の考え方が広まれば、日本の企業はもっともっと良くなります。ぜひそれを、本にしませんか?」と。
2018年(平成30年)のことだ。
Kindleなど、電子書籍も一般的になった昨今。今さら紙の書籍を書く意味はあるのだろうか。更には、質の低いビジネス書が無数に出版されている現在の状況下で、「ビジネス書は古典以外読まない」という経営者も増えている。そんな中で、作家でもない自分の筆力で、必要な人に届く本を書くことができるのだろうか。正直不安が先行した。
しかし、採用コンサルタントとしての第一人者であり、数々の企業の採用を改善してきた実績を持つ稲田氏からの後押しもあり、覚悟が決まった。
企業はどれだけ採用力を磨いても、受け入れる組織の状態が良くなければ、いい人材は定着しない。そして組織のトップや幹部層が、強い意志を持って働きがいのある環境づくりに尽力していなければ、どれだけ多くの売上利益を上げても、全従業員の外的報酬をどれだけ高めていったとしても、関わる人を本当のしあわせに導くことはできない。
近年、従業員満足度やES(Employee Satisfaction)、従業員エンゲージメントという言葉も、広く知られるようになった。働きがいのある仕事を通じて、生きがいを高めることが重要だという意識を持つ企業経営者も増えてきた。素晴らしい変化である。私ごときが、この社会変化の役に立つことができているなどとは微塵も思わないが、クライアント企業の社長さんたちからは、その「藤原先生がおっしゃっていたことに、ようやく社会が追いついてきましたね。」というような過分な評価をいただくようになった。
しかし、まだまだ、日本全国のさまざまな企業に訪問して観察すると、従業員満足度を高める意識を持つ経営者や、メンバー全員の働きがいを日々意識している経営者は少数派であるということも分かり、良い組織を作りたいという志を持った経営者でも、その思いと行動が組織内で空回りしていて、多くの従業員が経営者のことを冷ややかに見ているというケースが少なくない。
そうした企業や、経営者、リーダーの方々の助けとなるものを、誰もが手軽に入手できるような形で世の中に提供しなければ、ここまで私を育ててくれた環境や先輩方に申し訳が立たない。現時点での自分の脳内にあるものを書籍化することは、従業員満足度研究所の代表としての使命の一つだと思った。
「藤原先生なら、本の一冊くらい、その気になったらすぐに書けますよ。」そう稲田氏から言われたが、私のキャリアには作家としての基礎もなければ、文章のセンスがあるわけではない。私は、自分の脳内にあるさまざまな考えを、どのようにまとめていけばいいのか悩むところからのスタートとなった。
出版社より編集担当の方を紹介されて、打ち合わせが始まった。しかし、一冊をどうやって書き上げたものかと悩んだのもつかの間、編集者の導かれるままに、あれよあれよという間に書く内容が定まった。あとは、その決まった項目を切り口にして、自らの脳内に格納されているもの独自のコンテンツを抽出していけばいいだけである。著者として初めて本の制作に関わり、出版というのは、著者の力だけではなく編集者や監修者の力によって、良い書籍が作り上げられるものであるという事も知った。
しかし、これはよく考えてみたら、企業経営と同じではないか。カリスマ性のある経営者や営業マンばかりが目立つような会社であっても、その経営者や営業マンをカリスマたらしめているのは、影で支える周りの優れた人たちである。
- 経営者のお金に対する考え方が従業員に与えるもの
- 右肩上がりの会社に夢が持てなくなるとき
- 社内恋愛が従業員満足度を一変させる
- 引く手あまたの求職者は、企業の何を見ているのか
- 辞めやすい会社なのに辞める人が少ない会社
- 顧客や取引先も積極的に選別する
- 経営者は、従業員のために尽くさなければいけないのか
これらは書籍の見出しの一部だが、こうした見出しの一つ一つ、そして「新・従業員満足度 ES2.0」という題名も、編集者と一緒に行ったブレストの成果である。自分の脳内に、どれだけ上質なコンテンツが大量にあったとしても、それがお客様や取引先の方に役立つ形でアウトプットされなければ、宝の持ち腐れである。その数々の宝を、今回の執筆活動を通じて、編集者の方から余すことなく引き出していただいた。
「著者と編集者の相性は、本の出来栄えに大きな影響を与える」という言葉をどこかで聞いたことがあるが、この意味を深く理解できる貴重な体験となった。そして、自信を持って日本中の中小企業経営者におすすめできる書籍になったのは、私の脳内にあるコンテンツの素材を、高い技術で調理してくれて最高の料理に仕立ててくれた、監修兼共著の稲田行徳氏と、編集担当者である重光風歌氏のおかげである。
この書籍の発売以降は、年間の個別コンサルティング契約をしてくれている企業だけでなく、メルマガ読者の方々や、従業員満足度実践塾の塾生の方々にも、体系的に組織論を学んでいただけるようになった。
- 目次
- 00プロフィールトップ
- 01私心なき経営~力なき人間が挫折を経て夢を追う~
- 02少年時代~強い組織を支えている人の存在を意識~
- 03落ちこぼれの高校時代~底辺を味わいながらも成功体験も~
- 04経営という仕事との出会い~自らの力で社会を渡り歩く魅力に取りつかれる~
- 05会社員経験~バブル崩壊直後の大手子会社で学ぶ~
- 06会社創業期~いきなりの挫折 惨めな船出~
- 07戦略なきドブ板営業~そこから繋がるディープな世界も~
- 08地方行脚~祖母の自宅に転がり込む~
- 09ミラノ出張~911の直後に国際線に搭乗する~
- 10上昇気流~大きな爆弾を抱えていることに気づかずに進む~
- 11組織の崩壊~従業員満足度への目覚め~
- 12第二創業期~クレド経営との出会い~
- 13クレド開発から導入、そして実践~粘り強さが作り上げたもの~
- 14マイクレド~自律自走の本質を知る~
- 15日刊メルマガの発行~ダメな自分を躾けていく最高のツール~
- 16従業員満足度研究所の立ち上げ~自らの事業経営の意義を見出す~
- 17コンサルティング事業~一般的なコンサルの常識を破壊する~
- 18従業員満足度実践塾~コンテンツの質を落とさずに、格安で学ぶ場を提供~
- 19子育てと教育~本質は、従業員満足度を高める組織づくりと同じである~
- 20「新 従業員満足度ES2.0」の執筆~日本企業の未来のために使命感を持って取り組む~
- 21クレド開発・浸透支援事業~組織づくりに悩むすべての企業に貢献する~
- 22後進の育成~日本の隅々まで、従業員満足度を高める経営を浸透させるために~
- 23生涯現役~働くことで人生が豊かになり、人間的成長ができると確信~