ブログ

DEIの終焉?トランプ政権で変わる企業の多様性戦略と日本への影響

  • 公開日:

企業はなぜDEIを撤退するのか?その背景と本質

「多様性」に関する考え方が、大きく変わってきています。
この潮流は、皆さんももう察知しているかと思いますが、アメリカにトランプ氏が新大統領に就任したことによります。
日本にも、近未来この潮流がやってくることは間違いありません。

トランプが大統領就任直後のニュースで大々的に報じられていましたので、ご存じの方も多いと思いますが、アメリカのマクドナルド社が多様性推進目標を、直ちに廃止しました。
また、小売大手のウォルマートや航空大手のボーイング社、フェイスブックを運営するメタ社も、今までのDEI(多様性・公平性・包摂性)の取り組みを見直すことを発表しています。

なぜ企業はDEIを見直すのか?トランプ大統領令の影響とは

トランプ氏は大統領就任演説で、「政府の公式方針として、性別は男性と女性の2つのみとする」と宣言しました。
連邦政府が「ジェンダー」ではなく「セックス」という以前の言葉を使って、パスポートやビザなどの公式書類には出生時の性のみを表記するように定めました
公式に、出生時性別以外を公式書類に書くことを認めない、としたわけです。

バイデン政権でDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)プログラムを進めましたが、それをトランプは「バイデン政権が強制した違法で道徳に反する差別的プログラム」と断じ、DEIプログラムを廃止する大統領令を出しました

トランプが新大統領に就任後は、このような大統領令が出されることはもうかなり前から分かっていたため、上述の有名企業をはじめいくつもの企業では、政府の方針に従って、先んじて今までの企業姿勢を大きく変換する決断をしているということです。

DEI撤廃が日本企業に与える影響とは?

アメリカでは近年、女性やLGBTへの配慮が行き過ぎているのではないかという声が広がりつつあり、それがトランプ政権で加速度がついたわけです。
マクドナルドでは2021年にDEI推進策を発表し、管理職に占める女性比率を45%、人種・性的マイノリティの比率を35%に引き上げることなどを掲げていたわけですが、それを取りやめたということです

日本でも、大手企業を中心に、管理職に占める女性比率を◯%にするなどの目標が、近年は設定されるようになりました。それらの根っこは、バイデン政権が推進したDEIプログラムにあったということは、知っている人は知っています。

すでにアメリカ国内で事業展開をしている日系企業も、トランプ新大統領のDEIプログラム廃止という政策の対応に迫られています。
なんと、トヨタ自動車も、性的マイノリティへの職場での対応を評価する「企業平等指数(CEI)」への参加を中止しました

企業は利益優先?変化に適応する大手企業の戦略

こういう世の中の潮流からわかることは、各企業の多様性への取り組みは、そういう社会が実現することが良いと思ってやっていたわけではなく、政府の意向に沿った活動をすることが自社にとって得で沿わなければ損だからやっていたということです。
国のトップが代わって、損得の基準が変われば、直ちに新しい基準で、自社が得するような体制に切り替えるのが、営利企業の実態です。
マクドナルドやウォルマートなどがブレているわけではありません。「自社の利益」という視点ではブレずに一貫していると言えるでしょうね。

損得の軸で会社の方針をスピーディに切り替える。資本主義社会の中の経営としては、ある意味で当たり前のことが起こっていると言っていいでしょうね。(もちろん皮肉ですよ)

本質的な価値を見失わない経営が求められる時代へ

DEI推進という潮流は、不可逆だと思っていた人も、日本では多いかと思います。
今回、アメリカ大統領がバイデンからトランプに代わって、大きく変わる政府方針に、これだけ素早く大手企業が反応するのは、こういうスピード感で新ルールに適応しなければ、企業として生き残ることが困難になると、みんなわかっているのです。

不可逆なものは何もないということを、あらためて実感した人も多いのではないでしょうか

こういう潮流の中で、もっとも惨めなのは、なんとなく世の中の潮流に合わせてきてしまった小さな会社。
小さな会社は、限られた顧客から強い支持を得られていれば、世間の潮流に合わせる必要は全くありません。
しかしなんとなく「多様性の時代だから、それをうちも推進してアピールしよう」というような考え方でやってしまった企業は、ここからのトランプ政権の中で、大手企業のように割り切ってスピーディに手のひら返しすることもできずに、後手後手にまわることになるでしょう。

多様性に対する考え方だけではありません。地球温暖化に対する考え方も、領土拡張に対する考え方も、絶対的な正解や不可逆なことはなく、時々の為政者の方針に、私たちの生き方や仕事の仕方は良くも悪くも左右されるということです。

そういう意味では、トランプ大統領の存在は、多くの一般市民が正気を取り戻すきっかけとしてものすごく良いことなんじゃないかと思います。

人間とは何か。
国家とは何か。
地球とは何か。
仕事とは何か。

アメリカ国内で活動している企業の動向をみることで、日本の近未来の潮流がわかります。

寄らば大樹の陰的な生き方をしている人以外は、本質的なことに根差して生き方を正すとても良い機会ですね。

日本で唯一のESに特化した
会員制メルマガ

月額880円(税込)※1ヶ月間無料購読可

会員制メルマガについて詳しく見る

当社の「従業員」の定義

当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。

一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。

書籍のご案内

ES2.0書籍のサムネイル

代表の藤原清道が自ら経営する会社での実体験を通して得た、従業員満足度を上げるための実践的なノウハウをお伝えする、経営者やリーダー必読の一冊です。

Amazonで購入する
ES2.0書籍のサムネイル

手軽に学び始めたいという方はこちら

日本で唯一の
ESに特化したメルマガ

メールのアイコン

2008年の創刊以来、毎日配信し続け6050号。
採用や組織作りを中心とした現役経営者の思考を学べる
1ヶ月間無料の日刊の会員制メールマガジンです。

会員制メールマガジンを購読する

気軽に情報収集から始めたい方はこちら

X / YouTube

従業員満足度研究所 代表 藤原清道

Xは毎日発信、YouTubeも平均月に2本アップ。
採用や組織作りなどについて無料で学べる公式アカウント。
メルマガはハードルが高いと感じられる方は、
まずSNSのチェックから始めてみてはいかがでしょうか。

対談企画

定着と報酬の関係

代表の藤原清道が、株式会社ワイキューブ創業者で境目研究家の安田佳生さんと対談しています。

サービスについてご質問などがございましたら、こちらからお問い合わせください。

お問い合わせはこちら