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組織文化は経営者の「判断」でつくられる|儲かるからやる、で組織が飽きる理由

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霧島・高千穂峰の登山道に立つ、二方向を指す木製の道標

会社とはなにか。商売とはなにか。

そんなことを考えることが私の日常で、こういうことを考えていると、仕事の本質や組織の本質を見失うようなことがなく、目の前のことに向き合うことの面白さを感じることができます。

資本主義社会の中での会社経営では、経済合理性が必ず中心にあります。つまり、儲かることはやる(やっていい)けど、儲からないことはやらない(やってはいけない)というルールの中に私たちはいます。

これは別に悪いことではなくて、むしろこのルールがあるからこそ、工夫が生まれるし、知恵が生まれる。制約があるから面白い、という側面は確かにあります。ただ、このルールだけで会社を動かしていると、あるとき気づくんです。「儲かるからやっている」だけのことは、どこかで必ず飽きる、というか、全力を尽くし続けるモチベーションが続かないことに。

そして、儲かるかどうかよりも大切にしたいと思える価値観が、組織に宿るようになっていきますが、それでも法人という人格の生き物は、経済合理性を手放すことができません。これは宿命のようなものです。

「儲かるからやる」と「意味があるからやる」の違い

ここで大事なのは、経済合理性を手放せないことと、経済合理性を「最上位の判断基準にする」ことは、まったく別だということです。

儲からなければ続けられない。それは事実です。でも、「儲かるからやる」と「意味があるからやる。そしてそれが結果的に儲かる形をつくる」では、同じ行動でも、組織の中に流れる空気がまるで違ってきます。

この「空気の違い」は、外から見ると分かりにくいんですよね。同じ商品を売っていて、同じ価格で、同じような商品やサービスを提供していても、なぜかお客様が離れない会社と、常に新規を追い続けなければならない会社がある。

その違いの正体は、案外シンプルで「自分たちがやっていることに意味がある」と従業員一人ひとりが思えているかどうかじゃないか。

組織文化は、経営者の「判断」に表れる

社員がそう思えるかどうかは、経営者がどちらの順序で考えているかに、ほぼ完全に依存しています。そして経営者がどちらの順序で考えているかは、言葉ではなく、判断に表れます。

たとえば、利益率の高い仕事だけど自分たちがやる意味を感じられない案件を、受けるかどうか。たとえば、短期的には数字に貢献しないけれど、社員の成長につながる取り組みに、時間とお金を使えるかどうか。

こういう場面で、経営者が何を優先するかを、社員はものすごくよく見ています。見ていないようで、見ている。

その判断の積み重ねが、「この会社は何を大事にしている会社なのか」という文化になっていきます。

社員一人ひとりの判断も、文化をつくっている

そしてこれは、経営者だけの話ではありません。社員の側もまた、自分自身の判断の積み重ねで、組織の文化をつくっています。

「この仕事は意味がないけど、言われたからやる」という判断を繰り返していると、その人の中から仕事の面白さは消えていきます。逆に、「この仕事の意味を、自分なりに見つけてみよう」と思えたとき、同じ作業でもまるで違うものになります。

組織の空気は、経営者がつくるものであると同時に、そこにいる一人ひとりがつくるものということです。

組織変革を外部に丸投げしてもうまくいかない

では、その空気を変えようとするとき、何から始まるのか。

組織変革や組織開発を、外部に丸投げしてやってもらおうとする経営者は少なくありませんが、そこには「腹くくり」も「不退転の決意」もありません。自分の組織を変革したいと考えるなら、まずは自分の覚悟が起点になっている必要があるということです。

「腹くくり」とか「不退転の決意」とか、言葉にするとどこか精神論のように聞こえるかもしれません。でも、ここで言う覚悟とは、もっと具体的なものです。

たとえば、組織を変えようとすれば、必ず抵抗が起きます。今のやり方で困っていない人、今のやり方のほうが都合がいい人が、必ずいるからです。そのとき、抵抗に遭って引き返すのか、それでもやり続けるのか。その分岐点で踏みとどまれるかどうかが、覚悟の正体です。

抵抗は「善意の顔」をしてやってくる

しかもこの抵抗は、敵対的な形で来るとは限りません。むしろ厄介なのは、善意の顔をしてやってくる抵抗です。

「社長の言いたいことは分かります。でも、現場の負担を考えると今じゃないと思います」
「方向性には賛成です。ただ、もう少し段階を踏んだほうがいいのでは」

こういう言葉は、一見すると正論に聞こえます。実際に正論であることもある。だからこそ難しいんです。正論で包まれた現状維持に対して、それでも「いや、今やる」と言い切れるかどうか。そこに覚悟が問われるわけです。

まず、自分が変わること

組織変革に必要なのは、優れた手法でも、外部の専門家でも、精密な計画でもありません。経営者が、自分の在り方に照らして「このままではいけない」と腹の底から思えているかどうかなんですよね。

私自身、20年ほど前に一度、組織を壊しています。そのときのことを書かずにこの話をするのは、どうにも据わりが悪い。

その覚悟だけが、正論の壁を越えさせてくれるし、社員の心を動かす力になります。

順番を間違えないこと。まず、自分が変わること。組織変革は、そこからしか始まりません。

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