元ワイキューブの社長で境目研究家 安田佳生さんとの対談企画
人は何のために働くのか。
仕事を通じてどんな満足を求めるのか。
時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。
その中で「ES(従業員満足度・従業員エンゲージメント・ウェルビーイング)」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道が、安田佳生さんと対談していきます。
雇わない株式会社というユニークな会社の取締役も務め、「雇わない経営」を標榜する安田さんと、ESの向上を使命に事業展開する私(藤原)の対談を、ぜひ読んでいただければと思います。
第5回目は【社長室は、本当に必要か?】という内容です
私は、小さな会社の場合、ほとんどのケースで社長室は無い方がいいだろうと考えています。
一方で安田さんも、社長室は無い方がいいと考えていらっしゃったようで、ワイキューブの社長をされていた当時は社長室を作らなかったとのこと。
しかし、その理由は私とは異なります。
安田さんは、自分だけが豪華な社長室を使うのではなく、全社員にそのような環境で仕事をしてもらたいと考えていらっしゃったようで、オフィス全体にとんでもないお金をかけて、なんとすべてを社長室のような仕立てにしてしまったのです。
安田さんは、お金の使い方がそんじょそこらの社長連中とは圧倒的に違っていて、非常に大胆な感覚・感性で投資をする方です。
例えば給与。
多くの経営者は従業員の給与を高めたいと考えていますが、それは会社の業績が高まって増えた利益から給与を出すという形、言ってみればこのように当たり前のこと(業績に見合った給与にするということ)を行います。
しかし、安田さんはそうではなく、銀行から借り入れをしたお金を原資に、先に従業員の給与を上げたのです。まだ利益に貢献していない従業員の給与を大きく上げれば、その給与に見合う働きをするようになり、利益が上がってから給与を上げるよりも業績が上がる速度が高まるのではないかという仮説を立て、それをリアルに実践したわけです。
それ以外にもそういうエピソードはたくさんあります。
例えば、役員だけでなく一般社員にも、国内出張で新幹線のグリーン車を使わせたり。
また、オフィス内にワインセラーやバーを作り、専任のパティシエやバリスタ、バーテンダーなどを雇って社員にスイーツやカクテルなどを振る舞う、ということもされていました。
優秀な地頭力の高い人材を高い給与で積極的に採用し、そういう人材に「まるで社長待遇」で仕事をしてもらう。すると、それを意気に感じた社員たちが、通常待遇の社員よりも高い成果を上げていく。
安田さんはおそらくそんなイメージをされていたのでしょう。他にも、普通の経営者には考えもつかないような施策を次々と展開されていました。
採用力を高めて優秀な人材を採り、その優秀な人材にしかできないような複雑な戦略・戦術を基にしたビジネスモデルを作り上げることで、独自性を高めて、競合他社の参入障壁も上げていったのです。
そうしたビジネスモデルを背景にして、高い収益率を実現し、全社員の社長待遇を支えていたのが、当時の株式会社ワイキューブだったと、私は理解しています。
(これは私の解釈なので、もしかしたら少し違っているかもしれません)
こんなことは、私も含めて、常人にはなかなかできません。
もちろん、最終的には経営破綻をしてしまったという現実がありますから、全てが上手くいったわけではありませんが、それでもこういう挑戦的な取り組みを行いその結果を真正面から受け止めてきた結果、現在の安田さんという人間が作られてきたことには違いありません。
さて、社長室に対する考え方。
それは人それぞれかと思いますが、そのメリット・デメリットの両方を考えたとき、社長室はあえて設けないのがベターであると私は考えています。
ただ、社長室を設けない理由は、安田さんと私とでは全然違っています。
いや、安田さんのように「社員全員社長室のような場所で仕事をしてもらう」なんて理由で社長室を設けないという人は、世界中探しても他には一人もいないでしょうね。
以下をクリックして、対談内容をチェックしてみてくださいね!
【社長室は、本当に必要か?】
安田佳生 ✕ 藤原清道 連載対談第5回目
ところで、社長室をつくって、社長室の中であなたは何をしたいですか?
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当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
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