以前にこのブログで紹介させていただいた書籍
「いのち輝くホスピタリティ」
※以前の紹介記事 → クリック
この書籍に出合って以来、ずっと、伺ってみたいと思っていた組織へ、今日、意を決して訪問してきました。
私の目指す組織の形を、かなり高いレベルで具現化されていらっしゃる会社
世界最高レベルのサービスで顧客を魅了し続けるリッツカールトンホテルの元日本支社長である高野登さんが一瞬にして「かなわない」と思ったという究極の組織
それが、今日訪問させていただいた川越胃腸病院です。
まず、リッツカールトンホテル元日本支社長、高野さんの言葉を紹介します。
感動すると同時に、激しいショックも受けていました。30年余り、ホテル産業に携わってきて、それなりのステージをつくってきたという自負はあります。それでもこの病院を見たときに、「参った」と思わざるをえませんでした。
命にかかわるような厳しい状況と常に向きあっておられる過酷さを背負いながら、なおもこんなすばらしいステージが実現するというのは、驚異的なことです。
洗練された仕組みを持っていないにもかかわらず、高いES(スタッフの満足=従業員満足度)と、高いCS(患者様の満足=顧客満足度)を達成している、こんなステキな組織があったのかと本当に驚かされました。
スタッフの方々のこんな言葉が、それを象徴していると思います。
「病院が好き、患者様が好き、仕事が好き、ここで働く自分が好き! 働く人が幸せでいられることが、患者様の幸せにつながる」 こんなすばらしいところで仕事ができることを、心から誇りに思います。すべては患者様のために! そしてみんなが幸せになるために、ともにがんばりましょう!
「この立派なすばらしい環境の中で毎日明るい気持ちで働くことができる幸せ」、そして「努力が評価され、きちんとした形で自分に返ってくるという、やりがいをもって働くことができる幸せ」。それから「自分の職場や仕事に誇りがもてる幸せ」「病院と夢を共有できる幸せ」。そんなたくさんの幸せを感じられる環境にいられることに心から感謝し、これからも精いっぱい努力していきたいと思います。
「いのち輝くホスピタリティ」より引用
ちなみに、訪問したといっても、院長や事務の方にアポイントをとっていったわけではありません。先さまは、今この瞬間も含めて24時間患者様の幸せのための活動を続ける病院です。病院のお仕事に直接関係のない私ごときが、気軽にアポイントを取るわけにはいきません。
こちらが誠実に訪問目的を伝えれば、スタッフの方がきっと丁寧にご対応くださったであろうことは予想できましたが、患者様の診察や手術などのご対応を中心とした病院本来のお仕事のご迷惑になってしまってはいけません。
ですから、あえてご連絡をせずに、こっそりとお邪魔にならないよう細心の注意をはらって訪問をしようと思った次第です。
憧れ続けた究極の組織への初訪問。
こころ踊る思いで電車を乗り継ぎ、最寄りの川越駅(埼玉県)に早朝到着しました。
病院へ訪問するのに、「こころ踊る」とは不適切な表現かもしれません。もし不愉快に感じる方がいらっしゃいましたらお詫びしなければなりませんが、あくまでもこうした純粋な気持ちからの訪問であったことをご理解いただければと思います。
駅から歩くこと、約10分
病院の入り口へ到着した私は、なんと憧れの組織を前にして身体が麻痺したかのように足がピタリと止まってしまったのです。
目の前には想像をはるかに超える小さな病院。スタッフの数が100人ほどという知識は事前に持っておりましたので、大学病院とは比較すればかなり小規模の病院であろうことは予想できたのですが、実際の印象はそんなレベルではありません。街のちょっと大きめの診療所をひと回り大きくしたくらいの規模といったらイメージができるでしょうか。
やはり、訪問すべきではなかったのではないだろうか。患者という立場でもない私が訪問することで、患者様や病院スタッフの皆様のご迷惑になりはしないだろうか。
そんな思いが脳裏を駆け巡り、川越胃腸病院の入り口で私の歩みを止めてしまったのです。
どの位の時間が経過したのでしょうか。その時間はもしかしたら一瞬だったのかもしれません。いやそんなことはないはずです。この間にいろんな事を考えたのですから、一瞬なはずはありません。このまま院内に入るべきか、いや失礼させていただいた方がいいのか。悩みに悩み、病院の入り口で時間だけが経過しました。
とにかく、絶対にご迷惑をおかけしないよう、お邪魔にならないよう細心の注意をはらおう。もしそれでもご迷惑がかかると感じたら、速やかに退出する。
悩んだ結果、そう自分に言い聞かせ意を決して院内に入りました。
衝撃が私の全身に走りました。
想像通りの部分もあり、想像以上の部分もあり、そのことにまずは衝撃を受けました。
どういうことか簡単に説明します。ある企業を、書籍や取材記事またホームページなどで知ったとしても、多くの場合それらの媒体ではその企業の魅力を二割から五割くらいは水増しして書かれているので、実際の現場に行くとほとんどの場合、想像以下の実態にガッカリさせられます。まあ、でもそれはある意味しょうがないことなんですよね。企業経営者は、自分の会社のことを水増しして書いているつもりはなくとも、どうしても理想も含めて現状を語りますから、それが書籍やホームページ・ブログになった時点で悪気なく水増しした内容になるものです。これは私とて例外ではないと思っています。
人が辞めない会社をつくりましょうと言っているコンサルタントの経営している会社で、実はスタッフの定着率が悪かったり。経営者本人に悪気はなくても(意図的に水増しして見せようと思っていなくても)この手の話はどこにでもあります。
であるにもかかわらず、です。
であるにもかかわらず、この川越胃腸病院が、私の予想(期待とも同義)と同等以上だったことにまずは衝撃を受けたと、そういうことなんです。
院内へ入った後、まわりを注意深く見渡し、まずは待合室の邪魔にならない場所に腰かけ、この病院を五感すべてで感じてみることにしました。そしてすぐに感じたのはすごく自然な柔らかい空気、雰囲気でした。私が今まで行った病院のどこでも感じなかった空気感。ひとつひとつ挙げればキリがありませんが、スタッフの方おひとりおひとりの表情、所作が全く飾られていなくて自然なのに、ステキなんです。いやむしろ自然だからこそステキなのだと思います。
ふと思いだしました。たとえばディズニーランド、たとえば高級ホテルやレストラン。それらの会社では素晴らしいお客さまサービスをされているのですが、ふと思い返すと、その素晴らしいサービスは、すべて優れた教育だったり洗練されたシステムに支えられているだけで(いやこれが素晴らしいのですが…)、あくまでも仕事として、教育されつくられた笑顔だったり、つくられた接客だったりするのです。つまり仕事上その役を演じているという感じが否めないわけです。きっとそのスタッフの素の人格はまた違うんだろうなぁと。
ま、それですらできていない会社が大多数なので、ディズニーや高級ホテルのサービスにも私たちは本当に感動させられるのですが、川越胃腸病院のスタッフの笑顔や所作・振る舞いは本当に自然で、職務上演じている姿ではなく、その人のありのままの人柄で患者さんの対応をされている、それがありありと分かるのです。(もちろん、自身の体調が悪かったりするときに無理をして笑顔をつくったりということはあるかと思いますが、それも含めてその人の人柄を変えずに仕事をしているということです)
私が今日、この川越胃腸病院の待合室で過ごした時間は、どうでしょう30分くらいだったでしょうか。いくら神経を研ぎ澄まして感じようとしていたとはいえ、この短い時間で感じることができたこと分かったことは全体の半分、いや一割にも満たないかも知れません。
しかし、これだけは確信することができました。
私がつくりたい組織はこれだと。
心震える体験は、人生の中でもそうそうあることではありません。
ディズニーやリッツカールトンもステキな組織であることは間違いありませんが、教育と仕組みで行う上質なサービスと、スタッフひとりひとりの心から満たされた状態から自然ににじみ出る川越胃腸病院の上質なサービスは、次元が全く異なるものです。
私がつくりたいのは、ディズニーやリッツカールトンのような洗練された組織ではなく、川越胃腸病院のような温かく人間くさいスタッフが心からの笑顔とその人らしい所作で仕事をする、そんな組織だということを確信しました。
そんな組織ができたときに、弊社のスタッフは「従業員満足度世界一の組織はもちろんウチでしょ」って思ってくれるのだと思います。
どうしてこのようなすばらしい病院ができたのでしょうか?
最後に、書籍から望月智行院長の言葉を紹介したいと思います。
「あきらめなかったからです。」
望月氏が院長になられてから約30年。一朝一夕にできた組織ではないということ。
私もあきらめません!!
今はまだ、川越胃腸病院の皆さまにはかないませんが、明日からまた、クレドと矛盾しない日々の行動をただただ愚直に続けていくのみです。
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当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
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