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会社を私物化しない第一歩【クレドと共に歩む「成長記録」その3】

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本日も当ブログへご訪問いただきありがとうございます。

クレド経営に関するノウハウを
現場事例と共に公開するこのコーナー。

【 クレドと共に歩む「成長記録」 】

として、月刊で情報をお届けしていきます。

本日は第三回目。

「会社を私物化しない第一歩」をお届けします。

  ▼バックナンバーはコチラ▼
  第一回  クレドとは?
  第二回  導入期によくある失敗事例

まずは前回のおさらい。

前回(第二回目)は、クレド導入期にありがちな失敗例を紹介しました。

クレドというツールは、
トップダウンではなくボトムアップでつくられ運用されるべきもの。

というお話し。覚えていらっしゃいますか??

 ( あまり覚えていないという方は、コチラ → クリック )

自らの絶対的決裁権を基にクレドの導入を決め、
自ら(経営者側)に都合の良い文言だけを羅列し、
それをカードにして従業員さんたちに、

「これがウチの会社のクレドだ!明日からこれに従っていくぞ!」

といって従業員さんたちにクレドカードを配布しても、

「あぁ、うちの経営陣、またどこかで変なこと聞いてきたのかぁ。
 まぁそのうちやめるんだろうから、適当につきあっておくか・・・」

と、冷ややかに受け止められ、
組織経営にとってプラスになるどころか、
むしろマイナスに作用してもおかしくありません。

導入の際、まずひとつ注意すべき点は、
クレドはあくまでもトップダウンではなく、ボトムアップであるということ。

というお話しでした。

もちろん、クレドを導入するということ自体はトップダウンで決めてもOKです。
(導入自体はトップダウンでないと、そもそも何も始まりませんから、苦笑)

しかし、そのクレドをつくるプロセスにおいては、きっちりボトムアップで
作っておかないと、クレドというせっかくのツールが、従業員満足度を上げる
どころか、下げるツールとして機能してしまいます。

そしてこんな話で前回の記事は終わりました。

組織にクレドを導入することと、
自らの「絶対的決裁権」を手放すこととは、実は同じことでもあると。

絶対的決裁権を手放すということ

小さな会社のオーナー経営者だけが持っているもの、
それが、この「絶対的決裁権」

いかなる反対があろうとも、
どんなに突拍子もないことであっても、
世間的に正しいかどうかも関係なく、
自分の決定が、会社としての最終決定になる。

ま、スモールビジネスは基本的にこんな会社ばっかりです。

「非理法権天(ひりほうけんてん)」

                    という有名なコトバがあります。

非なる行い(間違った行動)は、理(道理の通った行動)にはかなわない。
しかし、理なる行い(道理の通った行動)も、法(法律)にはかなわない。
しかし、法に則った行動でも、権(権力)にはかなわない。
しかし、権(大きな権力)も、天の力にはかなわない。

そう意味のある言葉です。
(世の中のほとんどはこれで成り立っています)

スモールビジネスのオーナー経営者が、
この「非理法権天」のどこに位置するかというと、
はい、ご推察の通り「権」の部分なのです。

つまり、組織で働く従業員さんにとって
絶対的決裁権をもったオーナー経営者には、
間違ったことが通らないだけでなく、
理にかなったこと筋が通っていることも通用せず、
もっといえば、法律に則ったことでも通用しない。

オーナー経営者の鶴の一声で、理屈も法律も吹っ飛んでしまいます。

聡明で利発な従業員が、どんなに論理的に正しいことを説明しても、
オーナー経営者のお気に召さなければ、提案のひとつも通らない。

非理法権天とは、まぁそういうことを端的に言い表しているコトバです。

その、理にも法にも勝る「絶対的決裁権」を手放すこと。

それが、クレドの導入です。

クレドはどんな役割を果たす?

では、クレドは組織の中でどのような役割を果たすのでしょうか?

「絶対的決裁権」を手放す、とは申しましたが、
実際問題、今日まであった強い決裁権を明日から手放すというのも
現実的ではありません。

正確に言うと、自らの“権”の上に、クレドを置くということです。

そしてその、オーナー経営者の“権”の上に置かれるクレドは
誰がどのようにしてつくっていくのか。

ここが、ポイントです。

はい、あなたがトップダウンでつくったら全く意味がありません。

従業員とその家族、お取引先様など、会社と関わっている人全員で
つくっていきます。
そうしてできあがったクレドが、あなたの“権”の上に置かれるのです。

さぁ、そうするとスモールビジネスにいったい何が起こるのでしょうか?

組織経営が自らの労働に依存しなくなる

ちなみに弊社の場合、1997年の創業当時からオーナーはこう言っていました。

「会社というのは社長個人の持ち物ではない。みんなのものだ。」と。

しかし、多くのスモールビジネスでは、会社はあたかも社長の持ち物の
ようになっています。

コトバには出さなくても、頭の中で思っていることは
120%従業員さんたちに伝わります。

口では、「みんなの会社だから、みんなで頑張っていこう!」といっていても、
心の中で、1%でも、“結局は俺の会社だ”と思っていたら、必ず伝わります。
従業員さんたちほど、経営者の本音を見抜いている人はいないと思って
間違いないでしょう。

「そんなこと分かるわけ無いじゃん。」と思っているのは、実はあなただけ。

「うちの会社は上手くやっているし、上手く従業員も使っている。
 そんな本音を感づかれるようなヘマはしないよ。」

            と思っているのもあなただけ。

“裸の王様”っていうお話しを知ってますよね??

働きたいのはどちらの会社?

① 会社は社長の持ち物ではない。みんなの共有物だ。

② 金を出しているのも、責任を負っているのも俺だ。
  みんなの会社なんてキレイゴト。この会社は俺のものだ。

二通りの経営者が率いる別々の会社があったとして
従業員さんたちが本気で頑張るのはどちらの会社でしょうか?

心のどこかで、「この会社は俺の会社だ」と思っているから、
いつまでたっても、会社の成長があなたの労働に依存してしまうのです。

すべて手放してしまえば、あなたの労働力に関係なく組織は成長していくのに。
あ~、もったいない。。。

クレドを導入することは、じつは「会社を私物化しない第一歩」でもあり、
「自らが動かなくても会社が成長し続ける仕組み」でもあります。

弊社では、創業時から、
「会社というのは社長個人の持ち物ではない。みんなのものだ。」
ということに嘘偽りない言動をオーナー及び経営陣が続けているため、

経営陣が寝ていようが遊んでいようが、会社が成長し続ける仕組みができあがり
ました。(無論、実際には寝ても遊んでもいませんが・・・笑)

事実、弊社の売上や顧客満足度は、経営者の労働に一切依存していません。

唯一経営者の労働に依存するものがあるとしたら、
従業員満足度くらいかもしれません(笑)

(多くのスモールビジネスでは、経営者の労働に売上も顧客満足度も依存してい
ますね。経営者が表舞台から姿を消したとき、お客様&お取引先にどういう感情
変化があるかを考えていただくとわかりやすいかと思います)

「社長!その意見、おっしゃっていることは理解できますが、
 クレドに沿って考えたらやってはいけないことだと思います。」

そう言われたときに、なんと答えるのか。

クレド導入の成功と失敗を分けるボーダーラインがここにあります。

会社を私物化しないための第一歩を踏み出し、絶対的決裁権を手放すことが
できたとき、オーナー経営者の労働や能力とは一切無関係に、
会社が成長軌道に乗っていくのだと思います。

なぜそう言えるのか。

(こっそり)他でもない、弊社がそうだからです。

さてさて、このシリーズはまだまだ続きます。

ここまでは、考え方を中心にお話しを進めてまいりましたが、
次回以降では、実際のつくりかたなどを弊社の事例を交えながら
お伝えしていきたいと思います。

       ・・・・・  その4 へつづく

追伸

   
   企業理念、経営理念、社是 というのも、ニュアンスとしては
   かなり近いもので、本来は“権”より上に位置するものです。

   ところが、理念というのは抽象的なものなので、これに照らして
   行動をしていくというのは、現場のスタッフにはなかなか難しい。

   そこで、理念を行動レベルに落とし込むことが出来るツールである
   クレドが力を発揮するのです。

   理念は理念で変わりません。クレドは理念を補完するものでもあります。

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当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。

一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。

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