私が学業そっちのけで、友人とのさまざまな活動に精を出すようになったのは、友人や先生から、学業以外の活動での評価が高かったことに由来する。
学校の勉強をしっかりやることを両親から強要されなかったことも大きい。周囲の環境のせいにするつもりはないが、高校では、文字通りボロボロの成績を叩き出した。
通知表に記載される五段階評価の数字は、ほとんどの教科で「1」。東大や京大にも現役合格者を輩出する進学校にあって、私は学校内ヒエラルキーの最底辺にいた。
通知表の「1」は赤字で記載されるため、真っ赤な通知表を手にすることになったが、その経験によって、組織の底辺で生きることへの抵抗感が薄れただけでなく、底辺にいる人への偏見も、私の中から消えていった。
そんな高校時代に、学業そっちのけで取り組んだのが、小中学校時代に評価されていた創作演劇……ではなく、一転して体育会系の最右翼とも言える格闘技だった。
在籍していた高校で唯一、全国レベルにあった部活動が空手道部で、入部のきっかけは、入学直後に親しくなった友人からの熱烈な勧誘だった。
漫才や演劇を通じて人を楽しませることには自信があったものの、幼少期から力が弱く、喧嘩は勝つより負けることのほうが多かった私にとって、全国大会常連校の空手道部は、まったく現実味のない世界だった。その誘いを何度も断ったが、友人は諦めなかった。
「俺と一緒に全国大会に行こう。空手で心身を鍛えて腕っぷしが強くなれば、これからの人生は思いのままだ!」
論理的に考えれば、腕っぷしだけで人生を生き抜けるはずがない。高校生の私にだって、その矛盾は分かるはずだった。それでも、勢いに押されるようにして入部を決めた。
今振り返れば、なかば強引に私を引きずり込んだその友人こそが、私の人生を大きく変えた存在だったのだと思う。
「全国制覇」を本気で目指す空手道部。入部を決意した瞬間から、異様な恐怖感に支配された。力こそが絶対的な正義の世界。入部初日から顔面を血だらけにするという洗礼を受け、華奢な体で武道の経験もなく、喧嘩のセンスもなかった私が、その環境で部活動をやり切った。
全国の頂点に立つことはできなかったが、努力を積み重ねれば、センスに恵まれない人間でも確実に強くなり、試合でも自分の想像を超える結果を残せるという事実を、自分の体で知った。
自分が本気になれば、やってできないことはない。そう思えるようになったことは、私にとって大きな成功体験だった。
しかし、問題はその後に待っていた。在籍していた高校は進学校で、ほぼすべての生徒が大学へ進学することを前提にしていた。進路指導の先生方からは、藤原清道という「最底辺にいる落ちこぼれ生徒」の進路が、学校の汚点になることだけは避けたいという空気が、ひしひしと伝わってきた。
学業では評価されず、かといって、将来の道がはっきり見えているわけでもない。空手で鍛えた心身とは裏腹に、進路という現実の前では、再び自分の立ち位置を見失いかけていた。この高校時代の経験は、私に二つのものを残した。
一つは、努力が人を裏切らないという確信。
もう一つは、評価軸を一つに絞った組織の中で生きることの息苦しさだった。
この感覚は、後年、組織や評価制度について深く考えるようになる私の、確かな下地になっていくことになる。
当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
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