プロフィール8

プロフィール
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地方行脚〜 祖母の自宅に転がり込む 〜

ただただがむしゃらに営業活動に明け暮れる日々。

戦略なき活動には、無駄も多かったはずだが、それでも情熱を持って取り組み続けたことで少しずつ結果が出始めた。仕入れた商品が利益を生み始め、遅まきながら毎月の家賃などの固定費の心配をする必要がなくなってきたのがこの頃。

ここに至るまで3年近くかかってしまったが、取引先の方やお客様との関係も良くなり、それに比例するようにして僅かではあるが会社にお金が残るようにもなってきた。

しかし、ここで安心してはならない。歩みを一瞬でも止めればようやく軌道に乗り始めたビジネスもすぐに息の根を止めてしまうだろう。小さな成功は不安定極まりない。

そう考えた私は、会社に残り始めたお金を自分たちの報酬として受け取らずに、次の商品の仕入れと、地方への出張と営業活動費用に充てた。

販売先を地方へ拡大すれば、多くのお客様に自社の商品が届く。そうすればもうトンネルの出口はすぐそこだ。意気揚々と新幹線に乗り、まずは首都圏に次ぐ商圏である関西エリアへと営業活動範囲を拡大していった。

しかし、結果は簡単に出ない。首都圏エリアでの営業活動の小さな成功体験を得ていた私は、同じようにやれば大阪や京都地区でも同じようにやれるはずだと考えていたが、そうは問屋が卸さなかった。

関西での活動は、首都圏エリアでの営業活動以上に多額の経費が掛かっている。手ぶらでは帰れない。しかしそんな思いは空回りするばかり。また会社の貴重なお金が無駄になった。胸が締め付けられる思いだった。

会社のお金に余裕はない。それでも営業にいかなければ未来はない。営業経費を切り詰めながらも、多くの企業を訪問する術を考えた。

関西出張の際には、その当時、京都に住んでいた祖母の自宅(母の実家)を拠点に営業活動をさせてもらうことにした。祖母の自宅に寝泊まりすれば宿泊費はゼロだ。そして、時間によっては食事もタダで食べさせてもらえる。当時の祖母の年齢は80を超えていたはずである。それでも、孫である私のわがままを喜んで受け入れてくれた。

朝早くに起こしてもらい、祖母の手作り朝食を腹いっぱいに食べて、意気揚々と関西各地の有力企業を訪問していく。訪問件数を増やして、営業活動に力を入れれば入れるほど結果も出てきたため、とにかく仕事が楽しくてこの頃の私は全く疲れを感じることもなかった。

そんなある日、祖母が倒れた。
仕事の面白さが日に日に増してきて、結果につながるようなハードワークが楽しくなってきた矢先だった。

祖母の好意に甘え過ぎていた。当時、ただただ仕事に夢中になっていた私は、早朝に祖母の家を出発して夜まで仕事をしてから帰宅。当然のように、祖母は起きて待っていてくれた。毎日温かいお風呂が当たり前のように準備され、毎日きれいな布団が敷かれ、私が夕食を済ませていないときは、祖母も当たり前のように待っていてくれた。

当時20代だった私は、生活ペースが不規則になっても健康を損なうことがなかったが、高齢の祖母にとっては、それが大きな負担になるということを想像すらしていなかったのである。無意識のうちに、高齢の祖母の生活ペースを私が大きく乱していた。祖母は倒れるべくして倒れたのだった。

身の回りの世話を80歳を超えた祖母にさせておきながら、自分の夢だけを追い、仕事に奔走することに酔っていたとしか思えない自分を恥じた。

祖母はその後、病院から自宅に戻ることができるくらいには回復したが、以前のような元気な姿に戻ることはなかった。その後は、祖母の自宅に行くときは、日が落ちる前には仕事を終わらせて、祖母の生活を乱さないように気をつけ、また体調の僅かな変化にも気を配るようになったが、これは祖母のためというよりも、単に自分自身の罪滅ぼしのためだったのかもしれない。

それから数年後、祖母は静かに人生を閉じた。

生まれ故郷の京都に、もう祖母はいない。自分の都合、自社の都合で、祖母の自宅を拠点にして仕事に邁進した数年の間に、会社は右肩上がりに成長していった。祖母の命を何年分かいただいて、事業も自分も成長したのだと思うと、心が痛んだ。

私の仕事のやり方には一切口を挟むことをしなかった祖母。徹夜もいとわないような長時間労働を伴うハードワークをする私の姿を見ても、一切何も言わなかった。大正生まれで、戦中戦後の激動の時代を生きた祖母にとっては、私の仕事への取り組み方は、まだまだ甘いと思って見ていたのかも知れない。

しかし、家族に対する姿勢については厳しく指導された。
「奥さんと子供は大切にせなあかん。出張先では仕事が終わったら必ず家に電話すること。誰のおかげで仕事ができるんか、それを忘れたらあかんえ」と、繰り返し言われたことを、今でも忘れることができない。

当社の「従業員」の定義

当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。

一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。

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