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プロフィール
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会社創業期〜 いきなりの挫折 惨めな船出 〜

そして1997年(平成9年)にベンチャービジネスの創業に参画。誰もがわかるレベルで日本景気はどん底に冷えていた当時、新規で銀行口座を開設した時に窓口の女性の方に言われた言葉は今でも忘れない。「こんな時代によく起業されましたね」と。そのくらいの閉塞感が漂う時代に、わずか2名でスタートした事業だったが、本質を追求することで必ず結果が出るという自信があったため、ゼロスタートのベンチャーでも未来に向かう不安は一切なかった。

しかし、創業直後に厳しい現実に直面。資金も後ろ盾も、見込み客との関係性もなにもないところからのスタートだったことから、すぐに運転資金が枯渇。理想ではメシは食えないという現実を目の前にして、いつの間にか理念よりも利益を優先する思考回路に切り替わっていった。

私が経営者としての仕事をスタートさせた90年代後半は、ソフトバンクの孫正義氏が時代の寵児としてもてはやされていたころ。その後、楽天の三木谷浩史氏やサイバーエージェントの藤田晋氏、ライブドアの堀江貴文氏などのIT起業家が続々誕生。

今でこそ、自分を他人と比較しても何の意味もないと思っているが、当時は同じ時期にビジネスを始めた同年代の経営者が大活躍する姿と自分を比較し、とにかく焦っていたように思う。しかし、その焦りは、売上や時価総額といった数字で比較してのものであり、顧客満足度や社会貢献度のような指標を一切用いていなかった当時を思い返すと大変恥ずかしい。

しかしこれは、今の自分が当時を振り返って見るからこその感情。当時、日銭にも困るほど困窮していたわずか二人だけの組織のこと、自分たちがやっていることの社会的意義や将来の夢などを口にするような雰囲気ではなかった。そうした環境のせいにするつもりはないが、毎日とにかく利益、そして現金を確保することだけが自分の関心事となっていった。

二人だけのオフィス。オフィスに積み上げられた数千万円の商品在庫。電話もならなければ、注文も入らない。最悪自分たちの給与は我慢するとしても、不動産屋は事務所の家賃を待ってはくれないだろう。仕入れた商品の支払いも、取引先は待ってくれないだろう。

仕事を終えて自宅に帰っても、妻には明るく話しかけるような心の余裕もなかった。妻は一切の不満を口に出さなかったが、乳飲み子を抱えながら、カネがない惨めさを私以上に味わったに違いない。

自宅には、妻の実家にある田畑で取れた米や野菜が頻繁に送られてきた。それでも食べるものが足りなかったのか、妻は独身の会社員時代に買い揃えたブランド物の洋服やバッグを現金に換えていた。

そんな苦労を知る由もない生まれたばかりの長女は、どんなときも天真爛漫な笑顔を妻と私に向けてくれた。妻の支えのおかげで、長女にはひもじい思いをさせることがなかったことが、唯一の救いだった。

この妻の努力を無駄にするわけにはいかない。長女の笑顔を奪うわけにはいかない。とにかくどんなことをしても結果を出さなければならない。利益を出さなければならない。現金を確保しなければならない。

新聞の折込チラシから求人広告を探し出し、深夜のコンビニかファミレスで睡眠時間を削って働くことで、現金を手に入れることを考えた。しかし、そんなことをしてお金を稼ごうとしていることを妻には知られたくない。そもそも立ち上げたばかりの事業が、うまく回っていないこともまだ話していない。ましてや妻は、日々乳飲み子の対応に手一杯だ。

どこか後ろめたい気持ちもあってか、求人広告をこっそりポケットに詰め、最寄り駅まで歩いて公衆電話から広告に記載されていた番号に電話をかけた。携帯電話もまだ一般には普及していない時代だ。

「あのぉ、新聞の折込広告で求人を見たんですが、、、」その声を、公衆電話の周りの人たちにも聞かれたくなかった。おそらく、消え入りそうな自信のない声だったと思う。「すみません。もう採用者は決まりまして、募集は締め切っております。」電話に出た女性は、快活な声で私に向かって返答した。電話の向こうの輝く女性スタッフが、自分とはあまりに対照的で、どうしようもない惨めさに涙が溢れた。

当社の「従業員」の定義

当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。

一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。

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