バブル崩壊の影響を色濃く受けた都市銀行のグループ企業で、会社員として働いていたのが19歳から20歳までの2年間だった。
株価や地価が誰の想像も及ばないほど急落し、大量の不良債権を抱えることになった金融機関だが、私が働いていた末端の現場レベルでは、危機感はほとんど感じられなかった。
「社会人というのは、案外ゆるい世界で仕事をしているものなんだな」
それが当時の率直な印象だった。
大企業特有の“大企業病”に侵された、茹でガエルのような状態にも見えたが、後になって振り返ると、必ずしもそれだけではなかったことにも気づく。
その頃に知り合った、さまざまな規模の経営者の方々との出会いが、私の思考を大きく揺さぶった。彼らからいただいた学びを、自分なりに咀嚼して導き出した答えは、今思えばかなり過激なものだった。
バブル崩壊程度の出来事で経営が揺らぐ企業は、そもそも社会にとっても、顧客にとっても、必要とされていなかったのではないか。
日本全体の経済成長が右肩上がりに続くという神話が崩れた直後に、社会人としてスタートを切れたことは、本当に幸運だったと思っている。それは、ビジネスの本質を、早い段階で考えざるを得ない環境に身を置けたからだ。
儲かるビジネスとは何か
これからは何が来るのか
旬な儲けネタをいかに逃さないか
そうしたビジネストレンドに過剰に振り回されていた企業は、ことごとくバブル崩壊という波に飲み込まれ、姿を消していった。
一方で、トレンドを意識しつつも、
お客様にとって価値あるものとは何か
日本社会や日本経済にとって最善は何か
という問いを軸に、ビジネスを設計していた企業は、経済成長が止まっても、仕事が途切れることはなかった。
バブル崩壊後の日本経済は、「失われた20年」あるいは「失われた30年」と呼ばれることが多い。だが、その入口で社会に出たからこそ、景気や時代に左右されない、普遍性のあるビジネスの本質が、私の中に静かに沈殿していった。
儲かるからやるのではない。
お客様にとって価値があるからやる。
社会にとって意義があるから、続ける。
当時はまだ一介のサラリーマンに過ぎなかったが、その頃にはすでに、自分が進むべき道ははっきりと見えていた。
お客様と社会に価値を提供し続けるために、強く、正しく、美しいビジネスを構築する。
この価値基準は、その後の私の経営人生において、一度も揺らぐことなく、思考と行動の軸であり続けている。
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06 会社創業期〜 いきなりの挫折 惨めな船出 〜当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
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