正直に言うと、私は長い間、「コンサルタント」という仕事に対して、かなり否定的な印象を持っていた。信用に値するコンサルタントに、ほとんど出会ったことがなかったからだ。
自分が話したいことだけを一方的に話し、上から目線でダメ出しをする。こちらが考えていることや、やろうとしていることに寄り添うことなく、自分の正解を押し付ける。横文字の専門用語を並べ立て、それが理解できない経営者を、どこかで見下している。
現場の痛みや苦しさを知らないまま、頭の中だけで組み立てた理屈を振りかざす。そんな「頭がいいだけ」のコンサルタントに、価値を感じたことは一度もなかった。
実際、私のまわりにいるスタートアップの経営者や、中小企業のベテラン経営者たちも、同じような印象を口にしていた。
戦略コンサルや外資系の大手コンサル会社には、たしかに優秀な人材も多い。だが、中小企業の現場に立ち、同じ目線で言葉を交わし、同じ温度で悩めるコンサルタントは、驚くほど少ない。
理由は単純だ。
自分自身で事業経営をした経験がないからである。
理論や知識は豊富でも、資金繰りに追われたことがない。
人が辞めていく夜を、眠れずに迎えたことがない。
決断の責任を、すべて自分一人で引き受けたことがない。
そういう人間が、経営者に向かって「あるべき論」を語っても、言葉は軽くなる。
だから私は、小さな会社に外部コンサルタントは不要だと、ずっと公言してきた。経営者が経営者として必要な能力を磨き続けるためには、自分で考え、自分で答えを出すしかないと思っていたからだ。
にもかかわらず、気がつけば、私はコンサルティングという仕事を、事業の一つとして行うようになっていた。それは、自分から始めた仕事ではない。お付き合いのある経営者の方々から、相談を受け続けるうちに、いつの間にかそうなっていった。
「誰に相談しても、腑に落ちない」
「正解が欲しいわけじゃないが、一人で考え続けるのが苦しい」
「現場の話を、そのまま聞いてほしい」
そうした声に、私は断りきれなかった。
ただし、コンサルティングを引き受けるにあたって、最初に必ず伝えることがある。
「私が直接、何かを解決することはありません」
「行動するのも、決断するのも、責任を取るのも、すべて社長ご自身です」
「私の役割は、考える力が鈍らないように、問いを投げ続けることだけです」
そのうえで、こう続ける。
「最終的には、私のコンサルから卒業してください」
「私がいなくても、自分で考え、立ち上がれるようになることがゴールです」
依存を生むコンサルティングには、何の価値もない。一時的に結果が出たとしても、その後に残るのは、考える力を失った経営者だけだ。
私が目指しているのは、問題を解決してあげることではない。問題と向き合い続けられる経営者を育てることだ。
実際、コンサルティングを続けていく中で、少しずつ変化が起き始めた。最初は自信を失っていた経営者が、次第に表情を取り戻し、自分の言葉で語り始める。
「何をすべきか」ではなく、「なぜ、そう考えるのか」を話すようになる。
半年、あるいは一年。長くても二年ほどで、多くの経営者が、別人のように変わっていった。
「組織が明るくなった」
「社員が、自分で動くようになった」
「お客様の声が、変わってきた」
そうした言葉を聞くたびに、私は確信を深めていった。
コンサルティングとは、知識を渡す仕事ではない。考える力を取り戻す過程に、責任をもって立ち会う仕事だ。コーチやコンサルタントとして仕事をしている人間は、「伴走」という言葉を多用する傾向があるが、私が行っているのは、伴走なんて生ぬるいものじゃない。
脳内にこびりついた古いOSをアンインストールし、最新のOSに書き換えることができれば、採用や組織づくりだけでなく、経営に関連するあらゆる課題に対処する方法論を、自分の脳から生み出すことができるようになる。
ここに到達していただくことが、従業員満足度研究所が提供するコンサルティングのゴールである。
小さな会社に外部コンサルタントは不要だと公言してきた私が、お客様から求められて始めたコンサルティング事業。
不思議な縁から始まったこの事業は、その後、紆余曲折を経て、現在は少し形を変えながら、継続されることになる。
次のページへ
18 思想をひらく〜 独占しないという選択 〜当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
手軽に学び始めたいという方はこちら
日本で唯一の
ESに特化したメルマガ
2008年の創刊以来、毎日配信し続け6400号。
採用や組織作りを中心とした現役経営者の思考を学べる
1ヶ月間無料の日刊の会員制メールマガジンです。
サービスについてご質問などがございましたら、こちらからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
