コンサルティングという仕事に、本気で向き合えば向き合うほど、避けて通れない問題があった。それは、時間と身体の制約である。
どれだけ思いがあっても、どれだけ役に立てる自信があっても、私一人が直接関われる人数には限界がある。実際、コンサルティングを続ける中で、お客様の数が増えるにつれて、自分自身の時間が削られていく感覚が、次第に無視できなくなっていった。
ありがたいことに、仕事の依頼は途切れなかった。だが、その一方で、既存のお客様に対して、十分な時間とエネルギーを注げていないのではないかという不安も募っていった。
「いつでも相談してください」
そう言っていたにもかかわらず、いつでも対応できる状態ではなくなっていた。それは、私自身の慢心であり、見通しの甘さだったと思う。
やがて、はっきりとした形で、その問題が表に出てきた。新規の依頼をお断りするようになり、既存のお客様からも、不満の声が届くようになったのである。
「なぜ、うちの仕事は受けてくれないのか」
「困っている会社を救えないのなら、あなたのやっていることは机上の空論ではないのか」
厳しい言葉だった。だが、正論でもあった。
自分がやってきたことは、本当に社会の役に立っていたのだろうか。独りよがりの仕事になってはいなかったか。そう自問せざるを得なかった。
そんなとき、協業していた社会保険労務士の稲田行徳氏から、一つの提案を受けた。それが、「オンライン型の実践塾」という発想だった。
私にとって、それはまったく新しい選択肢だった。直接会い、対話し、空気を感じながら進めてきた仕事を、オンラインで行う。正直なところ、最初は大きな違和感があった。
だが、考え直した。
私が大切にしているのは、形式ではない。直接会うことでも、顔を突き合わせることでもない。考え方の質であり、問いの深さであり、思考の持続性だ。それらが担保できるのであれば、手段は問わないのではないか。
そうして、2015年(平成27年)、日本で初めてとなる「従業員満足度やエンゲージメントを高め、離職率や採用を改善させながら業績向上に寄与すること」に特化したオンライン塾、【従業員満足度実践塾】を立ち上げた。
実践塾では、私がこれまでの経営経験と試行錯誤の中で積み上げてきた思考や問いを、コンテンツとして体系化し、段階的に学べる形にした。しかも、それらは一度きりの講義ではない。いつでも立ち返り、何度でも見返せるものとして設計した。
個別コンサルティングと比べれば、価格は大幅に抑えた。だが、質を下げるつもりは、一切なかった。
安く提供することと、安易に提供することは、まったく別だ。考える力を育てるためのコンテンツは、時間をかけて咀嚼される必要がある。その前提だけは、決して譲れなかった。
結果として、実践塾には、さまざまな立場の人たちが集まるようになった。スタートアップの経営者、医療機関の院長、老舗企業の後継者、管理職、独立を目指す若手ビジネスパーソン。業種も年齢もバラバラだが、「働くこと」と「組織」に真剣に向き合いたいという一点で、共通していた。
オンラインという形式は、私の時間を拡張しただけでなく、学ぶ側の時間も解放した。忙しい日常の中でも、自分のペースで考え続けられる場が生まれた。
従業員満足度実践塾は、私にとって、コンサルティングの代替ではない。むしろ、コンサルティングの思想を、より多くの人に開いた形だと考えている。
誰かに答えを与える場ではない。自分で考え続けるための、土台をつくる場である。私一人が直接関わらなくても、考える力が伝播していく。その可能性を、実践塾を通じて、私は初めて実感することができた。
当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
手軽に学び始めたいという方はこちら
日本で唯一の
ESに特化したメルマガ
2008年の創刊以来、毎日配信し続け6400号。
採用や組織作りを中心とした現役経営者の思考を学べる
1ヶ月間無料の日刊の会員制メールマガジンです。
サービスについてご質問などがございましたら、こちらからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
