お付き合いのある経営者の方々に対して、コンサルティングを直接提供するようになり、クライアント企業の従業員満足度と業績が改善していく現場を見届けることに、大きなやりがいと面白さを感じながらも、労働集約型の仕事であるコンサルティングの物理的時間の限界はすぐに無視できないレベルで迫ってきていた。
求められることはありがたく思いつつも、お客様の要望に答えきれないことに対して強いストレスを感じるようになっていた。あまり深く考えずに、求められるがままにコンサルティング契約を増やしていったところ、既存のお客様からクレームが入るようになった。面談や電話を使った経営相談も、コンサルを始めた当初と比較すると、お客様一人に使うことができる私自身の時間が劇的に少なくなってしまっていたのである。
「いつでもお気軽に相談してください」
そう言っていたにも関わらず、もはやいつでも相談を受けることができないような状況になっていた。コンサルをさせていただく環境の急激な変化を、クライアント企業に共有することが追いついておらず、クレームが発生しても当然だった。
既存のお客様にはお詫びをしつつ、新規のご依頼に対しては丁重にお断りを申し上げる日々。
「なぜうちの仕事は受けてくれないんだ。困っている企業を救えないのなら、御社のやっていることは机上の空論ではないか。本当に残念だ。」そのような言葉を浴びせられ、さまざまなことを考えさせられた。
自分がやってきたことは世の中の役に立っていなかったのだろうか。
独りよがりのサービスだったのだろうか。
お客様視点での価値の最大化を考え続けてきたつもりが、お客様からはお叱りをいただいてしまう始末。
古くからコンサル契約をさせていただいているクライアント企業に限っては、お客様がすでに成長して安定軌道に乗っているため、私が直接的に指導する時間が少なくても成果を出すことができるようになっていて、日々感謝のお言葉をいただいていたのだが、これが結果として目の前の課題の認識遅れに繋がっていたのだ。日々いただくお客様からの感謝のお言葉。しかし、その感謝のお言葉の裏には、新規のお客様のご不満もあったということ。
従業員満足度研究所以外にも、別の企業の経営に携わる私には、もともとコンサルタントとして仕事をする時間が十二分にあったわけではなかった。それなのに、お客様から求められるままにコンサルティング契約を増やしていった。未来を見通す自分の甘さを恥じた。
自分の物理的時間に制約を受けない形で、なおかつサービスの質を落とさない形で、なんとかお客様からのご要望に答えられるアイデアはないものだろうか。そう考えながら試行錯誤を繰り返していた頃、協業していた稲田行徳氏から、「eラーニング型のオンライン塾」という、全く新しい提案をいただいた。
この稲田行徳氏からの提案をきっかけにして、日本初の「従業員満足度」に特化した、オンライン塾「従業員満足度実践塾」が開校した。2015年(平成27年)のことである。
オンライン形式の塾として、従業員満足度を学ぶことに特化したコンテンツを置き、そのコンテンツを更新しながら追加し続けることにより、私がその場にいなくても、クライアント企業が求めるものをいつでも提供できる環境ができたのだ。何よりこのブレイクスルーによって、お客様が対面形式での個別コンサルティングを受けるよりも、大幅に安い価格で従業員満足度の向上を学ぶことができる場も同時に実現されることになった。
オンライン塾の特性を活かし利用しやすい月会費を実現したことから、副次的効果として、企業の経営者だけでなく、さまざまな企業のマネジメント職にある人にとっても学びやすい場としても評価された。
現在は、スタートアップベンチャーの経営者や、医療機関の経営者、老舗企業の後継者候補の方、そして独立起業を目指す若手ビジネスパーソンや、経営者意識を持った管理職の方など、幅広い業界の幅広い立場の方が塾生として参加。
個別コンサルティングでは、あっという間にお客様の増加に対応できなくなったが、オンライン形式の塾では、私の労働時間に制約を受けることなく、24時間365日休むことなく、安定したクオリティのコンテンツをお客様に提供できるようになった。
当社の「従業員」の定義
当社では「従業員」を“理念やクレドに従う全スタッフ”と定義しています。
つまり一般的な社員だけでなく、アルバイトさん、パートさん、
そして経営トップや役員も従業員の一人であり、そこに優劣はありません。
一般的には、経営者に「従う」という意味で従業員という言葉が使われていますが、
当社では理念やクレドに「従う」という意味で、
経営トップも含めて関係者全員を従業員と定義しているのです。
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